国立劇場おきなわ「第9回創作舞踊大賞」の入賞作品の決定について

 

 

 国立劇場おきなわでは、沖縄伝統芸能の振興に資するため、新たな「創作舞踊(琉球舞踊)」を創造発信することを目的に、平成22年度(2010年)から「創作舞踊大賞」の公募事業を実施しております。本年度は、10作品の応募があり書類確認の結果、全ての応募作品が、12月13日(日)の実演審査に進みました。選考の結果、下記作品の入賞を決定しました。

 この賞には大賞・奨励賞・佳作の三賞を用意しており、本年度は大賞1作品、奨励賞1作品、佳作2作品を選出しました。総体的に作品の水準は高く、舞踊作家の個性が輝く内容で、いずれも創作舞踊として大きな可能性を秘めた作品でした。入賞を逸した6作品を含めさらに練り上げ練り直しを重ね、作品の完成度を高めていくことを期待いたします。

 当劇場ではこれを契機に、伝統の保存継承を踏まえつつ、さらなる沖縄伝統芸能の発展を目指し、この制度の一層の充実を図っていく所存であります。舞踊界はもとより舞台芸術関係各界のご支援ご協賛をよろしくお願いいたします。

 

 

                          

 

 

 第9回創作舞踊大賞 喜屋武愛香(きゃんあゆか)作品「若衆鯉(わかしゅごい)」

華やかな衣装、扇子(小道具)の扱い方、考えられた振付・舞台構成、オリジナル曲を交えた音楽構成など、創作作品としての工夫が随所に見受けられる。琉球舞踊の基本を押さえながらも、若鯉の爽やかさ、力強さ、群れの踊りなど躍動感あふれ、見応えのある作品として評価される。

 

 

 

 第9回創作舞踊大賞奨励賞 真境名由佳子(まじきなゆかこ)作品「春夜の梅(はるよのんみ)」

 古典女踊の様式を踏襲しつつ、創作としては、なかなか用いられることのない「秘伝仲風」や、オリジナル曲「夜の梅」「春夜の梅」を使用して挑んだ意欲作品である。凛とした所作に、女踊りとして独自の美しさが感じられ、上演を繰り返すことで、より優れた作品に昇華できる可能性を秘めている。

 

 

 第9回創作舞踊大賞佳作 金城真次(きんじょうしんじ)作品「籬内(ましうち)」

 沖縄芝居の名作をモチーフにした創作舞踊という特色に、可能性を感じる。舞踊の所作と演技力が上手くかみ合い、鶴の乙女心、恋心がしっかりと表現されている。ただ「薬師堂」を知らない者には、理解しづらい点もあり、冗長にならぬよう舞踊作品として練り上げられることを期待したい。

 

 

 第9回創作舞踊大賞佳作 山城亜矢乃(やましろあやの)作品「初はじち(あらはじち)」

 「はじち」という独特な風習を、舞踊として表現する発想、創作意欲が評価される。つらねを効果的に使用し、初めてはじちを施した娘の喜びとそれを見守る母親の様子が巧妙に表現されている。心情表現をリアルになることなく、舞踊の振りとしてしっかり練り込んでいくことで、佳品に成長するだろう。

 

 

備  考

1.受賞作品の作者には、賞状と賞金が贈られます。(大賞40万円、奨励賞20万円、佳作10万円)

2.表彰式は、1月28日(木)11時より国立劇場おきなわにて行われます。

3.受賞作品は3月27日(土)国立劇場おきなわ「創作舞踊と新作組踊」公演で上演されます。

 

(参  考)

・審査選考の観点

企画(発想・意図)、構成・振付、演出(表現・表出法)、演技、音楽

 

「第9回創作舞踊大賞」選考審査委員(五十音順)

大城學(岐阜女子大学・大学院 教授)

島袋君子(舞踊家 国指定重要無形文化財「琉球舞踊」保持者)

玉城節子(舞踊家 国指定重要無形文化財「琉球舞踊」保持者)

富田めぐみ(演劇プロデューサー)

長崎佐世(NS琉球バレエ団 団長)

比嘉康春(音楽家 沖縄県立芸術大学 名誉教授、野村流音楽保存会 師範)

嘉数道彦(公益財団法人国立劇場おきなわ運営財団 芸術監督)