沖縄芝居
<おきなわしばい>
-
史劇「大新城忠勇伝」
-
泊阿嘉
沖縄芝居の発生は、舞踊が古典舞踊から雑踊へと展開していく過程と時期が同じで、その事情もかなり似ています。明治20年代には、那覇に本格的な芝居小屋が建てられるようになりました。
沖縄芝居は「歌劇」と「方言せりふ劇」に分類します。歌劇は歌、所作、舞踊、せりふなどで組み立てられた歌舞劇です。初期の頃は短編の作品が多く、本格的な歌劇の登場は明治40年代です。庶民の風俗と人情を描いた作品が多く、悲恋物が人気を呼びました。「泊阿嘉」「奥山の牡丹」「伊江島ハンドー小」は三大悲歌劇と呼ばれ、現在でも人気のある作品です。
方言せりふ劇は、日常生活語(琉球方言)に近いせりふで演じられます。廃藩置県後、沖縄の役者たちが「演劇改革」と称して本土へわたり、本土から持ち込んだ旧派・新派の演劇を翻案し、それを沖縄古来の演劇に加えて創案したのが方言せりふ劇です。その様式は明治20年後半から30年代前半にかけてのことと思われます。題材の多くは史劇で、その延長上に時代劇がつくられました。もっとも古くて本格的な作品は、明治35年に渡嘉敷守良・守礼兄弟によってつくられ、上演された「北山由来記」(のちの「今帰仁由来記」)です。