国立劇場おきなわ「第8回創作舞踊大賞」の入賞作品の決定について
国立劇場おきなわでは、沖縄伝統芸能の振興に資するため、新たな「創作舞踊(琉球舞踊)」を創造発信することを目的に、平成22年度(2010年)から「創作舞踊大賞」の公募事業を実施しております。本年度は、3作品(課題作品部門なし、自由作品部門3)の応募があり書類審査の結果、3作品ともエントリーされました。このうち1件の辞退があり、2作品が、去る9月18日(月)、舞台での実演審査に臨み、選考の結果、下記作品の入賞を決定しました。
この賞には大賞・奨励賞・佳作の三賞を用意しており、本年度は大賞の該当がなく、奨励賞1作品、佳作1作品が選出されました。いずれも舞踊作家としての個性がよく表出されており、創作舞踊として大きな可能性を秘めた作品でした。演出及び振付・構成などさらなる練り直しを重ね、作品の完成度を高めていくことが期待されます。
当劇場ではこれを契機に、伝統の保存継承を踏まえつつ、さらなる沖縄伝統芸能の発展を目指し、この制度の一層の充実を図っていく所存であります。舞踊界はもとより舞台芸術関係各界のご支援ご協賛をよろしくお願いいたします。記
◆創作舞踊大賞奨励賞 喜屋武愛香作品
「綾結び(あやむすび)」
愛をテーマの清楚な舞踊で、雑踊の魅力がよく表現されている。
地謡の序破急を踏まえた三曲の構成がすがすがしく爽やかで、立方を心地好く刺激し、立方との掛け合い、歌掛けの着想も新鮮な演出法として効果を上げた。
類型的な振りを整理し、所作にメリハリをつける工夫と小道具をさらに生かす配慮が加われば、密度が増して一層優れた作品になるであろう。
◆創作舞踊大賞佳作 嘉数幸雅作品
「赤嶺里之子(あかんみさとぅぬし)」
琉球舞踊と日本舞踊の対比と融合を試みる発想と挑戦の意欲が評価される。
仮面による変身の妙を演出し、音楽はその要求によく応えて奏功し、作品はミステリアスでコミカルな味と世界を醸し出している。
しかし、意欲と観念が先行し、演技と演出が追いつかない一面があり、これが克服されれば異色作に成長する可能性を十分に秘めている。
備 考
1.受賞作品の作者には、賞状と賞金が贈られます。(大賞40万円、奨励賞20万円、佳作10万円)
2.贈呈式は、10月28日(土)18時より国立劇場おきなわにて行う予定です。
3.受賞作品は12月9日(土)国立劇場おきなわ「創作舞踊と新作組踊「太鼓の縁」」公演で上演されます。
(参 考)
・審査選考の観点
企画(発想・意図)、構成・振付、演出(表現・表出法)、演技、音楽
「第8回創作舞踊大賞」選考審査委員(五十音順)
大城學(琉球大学法文学部教授)
潮平芳和(琉球新報社取締役読者事業局長)
武富和彦(沖縄タイムス社常務取締役 文化事業担当)
田中英機(くらしき作陽大学客員教授)
西江喜春(音楽家 国指定重要無形文化財「組踊音楽歌三線」(各個認定)保持者)
比嘉悦子(民俗音楽研究家)
比嘉聰(音楽家 国指定重要無形文化財「組踊音楽太鼓」(各個認定)保持者)
又吉靜枝(舞踊家 国指定重要無形文化財「琉球舞踊」(総合認定)保持者)
山田多津子(舞踊家 県指定無形文化財「沖縄伝統舞踊」保持者)