5月組踊公演は親子の情愛や不戦平和を描いた「二山和睦の巻」を上演します。当劇場では2回目の上演になります。
 本作品は長編作品のため、前回公演時は一部の台詞や音曲を省略しての上演でしたが、今回初めて全編上演することになりました。
 全編上演に向け、立方指導の眞境名正憲先生と地謡指導の山城暁先生に意気込みを語っていただきました。

 

(左より)山城暁、眞境名正憲

 

【立方指導:眞境名正憲】

 2004年に伝統組踊保存会において、本作品を復活上演する際に、構成・演出を務めましたが、県外での上演ということから上演時間を考慮して、一部台詞や音曲を割愛しての複曲となりました。その後、2008年の劇場主催公演でも、そのスタイルで上演しましたが、今回久々の上演にあたり、是非とも全編上演を試みたいと意を決し、出演者・制作スタッフと共に、現在挑んでいるところです。
 上演時間が二時間弱と長編ものになりますが、親子の別れや、間の者との問答、武技の演舞など、名作の名場面を連想させるシーンも多く組み込まれ、以外と馴染みやすいのではないでしょうか。また、素晴らしい台詞が多く散りばめられており、あらためて聞かせる組踊作品だと感じているところです。
 親子の哀愁や情愛を柔らかに描いた人情ものとして、教訓的な台詞も多く、奥深い作品です。何度も繰り返し上演を重ねることで、一作品として定着していくだろうと思います。全編上演を通して、お客様にしっかり本作品の魅力をお届け出来るよう、出演者一同、稽古に励みたいと思います。

 

【地謡指導:山城暁】
 今回は、指導も兼ねて、若手の皆さんと一緒に出演しておりますが、何より稽古が楽しいと感じています。眞境名先生の指導に沿って、立ち方、地謡それぞれの視点から意見を交わしつつ、複曲作品を練り上げていく過程を、楽しみながら稽古を進めています。
 台詞の聞かせどころが多い作品ですが、音楽の面では、「干瀬節」「仲間節」「伊野波節」「長金武節」など、多くの名作に使用されている音楽が並んでいます。その中でも、「恩納節」「石の根の道節」の二曲は、組踊音楽として、なかなか演奏されない特殊な曲目です。本作品ならではの音楽構成の妙味も、お客様には是非、じっくりと聞いて頂きたいですね。
 また、仇討ちの見どころとなる派手な立ち回り等はありませんが、虎千代・虎松役の宮城茂雄さんと田口博章さんが武芸を披露する場面で、長刀や槍、鎌など道具を持ち替えての演舞は見せ場となり、お客様にもお楽しみ頂けると思います。
 音楽面からも作品を盛り上げることが出来るよう、私も出演者の皆さんと共に、本番までしっかり稽古を積みたいと思います。

 

☆組踊公演 「二山和睦の巻」
  5/27(土)14時開演 大劇場 一般3,100円、友の会2,480円
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