国立劇場おきなわステージガイド 華風8月号に第五期組踊研修生の紹介がありました。インタビューの一部を紹介します。
Q1  研修生になる前と現在で、自分自身どこが変化(成長)しましたか?
Q2 一番好きな組踊は何ですか?その理由は?

髙井賢太郎

何よりも、組踊がより一層好きになりました。客席で見ていた時とは違い、実際に演じることで知る組踊の奥深さを実感しています。また、その感動を体現することができるよう、日々の研修に励みたいと思います。


 「執心鐘入」。言葉も何もわからずに初めて見たときに、舞台から感じる何かを感じた瞬間の衝撃が忘れられません。

また、見るのも楽しみです。

下地 心一郎

「組踊は聴くもの」と言われる程、唱えもとても重要な要素の一つですが、声も小さく音痴だったので、最初の頃はとても苦労しました。しかし、2年目に入ってからは、「声も出てきて音も取れている」と言われるようになり、少し成長できたと実感します。


 「万歳敵討」。舞踊の高平良万歳も大好きで、息の合った兄弟の踊りや、高平良御鎖一行の行列や列女の坂本節の場面も好きです。

岡本 凌

琉球芸能の奥深さを勉強することで、芸能全般への見方が変わり、自分自身の意識も変わりました。組踊がますます好きになり、日々努力をして先生方のご指導にそえるよう心がけています。

 「執心鐘入」。見る立場であったのが、研修を通して演じる立場になり、作品の奥深さや魅力が分かるようになりました。

比嘉克之

研修に入る前の私は井の中の蛙で、自分の芸に正直、満足しているところがありました。しかし、研修生として多くのことを深く学び、自分は全然まだまだだと意識し、もっともっと精進しようと心がけています。

  「執心鐘入」。幼い頃から大好きで、親しみやすく、物語も分かりやすいし、演じる者としても、とても楽しい作品だから。

玉城慶

先生方からのご指摘を受け、すぐに次の練習に活かすことができるようになりました。組踊に対する知識が身について、より楽しくしっかり演じることができるようになりました。

 「二童敵討」。阿麻和利の強吟による勢いのある唱えや、迫力のある七目付き、兄弟と母と別れのシーン、また、阿麻和利を討つために化けた踊り子の華やかさにも心を奪われます。

金城亮太

 声域は広がったと思います。研修が始まった当初は毎回、声がかすれていました。また、組踊がもっと好きになりました。
 「銘苅子」。通水節、東江節の本調子、大アーキー、二揚とそれぞれ魅力があります。また、母と子の別れの場面でのセリフの掛け合いも切なく、とても味わいがあり、惹かれます。

澤岻安樹

 研修前に比べ、自主練習する時間が増えました。最近、無駄な力を入れすぎず厚みのある歌を歌えるようになってきていることを実感しています。

 「銘苅子」。組踊は「聴く」と表現されることもあります。銘苅子で使用されている楽曲は、組踊の地謡、歌三線の魅力が詰まった構成になっていると思います。

兼箇段翔
 声の出し方や音高、響かせ方などの音の感覚が鋭くなり、自分自身と向き合う時間が増えました。
 「執心鐘入」。組踊に興味を持つ大きなきっかけとなった演目だからです。

新垣勝裕

 古典音楽に対する考え方が深まり、質の高い稽古を求めるようになりました。
 「手水の縁」。本調子ものから二揚まで、歌い甲斐のある曲が多いことや、笛や箏のソロの場面がある作品だからです。

町田倫士

 自分自身の技芸や、日々の稽古への向き合い方が変化しました。また、何より組踊や琉球芸能がもっと好きになりました。


 「執心鐘入」。高校二年生の時、初めて組踊に触れたのが、この作品でした。また、干瀬節三節を地謡がそれぞれ歌い繋いで、宿の女の心中の変化を表現するところがとても好きです。