8月の組踊公演は12年ぶりの上演となる「微行の巻」。タイトルの「微行」とは、身分の高い人が身をやつして密かに出歩くこと。本作品では鮫川の按司が狩人に身をやつして領内視察し、悪事を企む輩を成敗するという、いわば沖縄版の水戸黄門といった内容です。わかりやすい筋立てとシンプルな展開の物語に、華やかな舞踊が数多く演じられる見どころ、聞きどころ満載の作品です。

 先日行われた記者懇談会では、監修を担当する島袋光晴先生、立方指導・古堅の子役の真境名律弘先生、地謡指導の玉城正治先生にお話をうかがいました。稽古風景とともにご紹介します。

 

(左より)玉城正治、島袋光晴、真境名律弘

 

【島袋光晴(監修)】

 「微行の巻」は、作者不明で創られた年代もわかりませんが、明治以降に創られた組踊ではないかと言われています。構成演出する上で工夫を凝らした点は多くありますが、鮫川の按司の衣裳もそのひとつです。按司が狩人に変装するシーンでは、その時代に使われていただろうと考えられている雨具の蓑を着用し、また、お忍びで訪れた古堅の子の家で出される酒具は、当時の庶民の家にあっただろうという高御膳を使うなど小道具にも工夫を凝らしています。久々の上演となりますが、出演者と共にさらに練り上げ、作品の魅力を深められるよう努めたいと思います。

 

【真境名律弘(立方指導)】

 平成7年の復活上演の際は、虎千代役を務めましたが、セリフを覚えるのが難しく、相手のセリフを覚える余裕がありませんでした。今回は、古堅の子役を務めますが、古堅の子の台詞が素晴しく、味わい深い台詞が多く散りばめられた見応えのある作品です。現代に通じる格言、名言が組み込まれていることを、あらためて感じました。十二年前よりもさらに練り上げて良い作品になるよう、光晴先生のアドバイスを受けつつ、お稽古を積んで、お客様にお楽しみ頂きたいと思います。

 

【玉城正治(地謡指導)】

 この作品は、按司が身分を隠し領内の視察をするなかで、悪事をたくらむ者を成敗するという内容です。前半の「東江節」は、悲壮感漂う曲で、「四季口説」や八重山の「古見浦節」「前の浜節」など組踊ではめずらしい曲が使われています。「亀甲節」で盛り上がり、最後の「しほらい節」まで、十二曲の音楽が用いられ、作者の音楽に関しての造詣の深さが感じられます。また、華やかな舞踊が多く、見どころ、聞きどころ満載で、観客にとって飽きのこない本作品の魅力をしっかりお伝え出来るよう、しっかり稽古を重ね、本番に挑みたいと思います。

 

 

【稽古風景】

 前回上演時よりさらに練り上げ最高の舞台とするべく、指導の先生方、出演者が一丸となって厳しい稽古を重ねています。8/26の舞台をご期待ください。

 

 

 

 

 

☆組踊公演 「微行の巻」

8/26(土)14時開演 一般3,100円 友の会2,480円

 公演詳細はコチラ